【S.21F】サボイアS.21F試作戦闘飛行艇(改修後)の撮影

S.21F is the most beautiful flying boat ever!

 

プラモデル断捨離の第四弾は、「紅の豚」に出てくるサボイアS.21F試作戦闘飛行艇(改修後)です。

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ミラノへの移動中、ドナルド カーチスのR3C-0に不意の一撃を食らったポルコ ロッソ。エンジンおよび主翼に甚大なダメージを受けながらも、美しい船体やポルコ自身は奇跡的に難を逃れました。

その美しい船体を今回はエアブラシ塗装。メニューは、ゲート処理、エアブラシ塗装、デカール貼り付け、クリア仕上げです。筆塗装の微妙な凹凸も味がありましたが、美しい船体は流体力学的な機能美からくるものなので、表面の仕上げも大事です。

 

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機体正面から。今度はちゃんとサイドの補助フロート付きです。メインの浮力は船体で発生させて、バランスどり程度のフロートですが、主翼に懸架されたフロートは爆装のようでもあり外部燃料タンクのようでもあり、メカ好きにはたまりません。

 

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エンジンは換装されてフォルゴーレ水冷V12気筒エンジンが720馬力を発生するという設定です。改修前のエンジンは600馬力の設定でしたから、20%の出力アップ。改修前のエンジンでは後方の両舷にとってつけられていたオイルクーラーは、プロペラ下の大きな開口部に変更されラム圧を受け止めています。

 

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たしか改修で後退角も強くなったはず。主翼エルロン内側にはタブが新設されています。運河から離水するときナイフエッジ状態になり、水面にエルロンをたたかれ態勢を立て直せない窮地をこのタブに助けられます。でもタブの本当の役割って、重心移動があっても機体がまっすぐ進むようにエルロンやエレベーターの補正ですよね。

 

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美しい船体や、主翼下面のトリコロールがよく見えるこの角度が一番かっこよく思ったので、この写真を表紙にしました。こんな飛行艇でアドリア海上空を飛びたいなぁ

 

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改修後も変わらず美しい船体。離水はくせがあり難しいけど、離水さえしてしまえば素直な操縦性というギャップがたまらないんですよね。

 

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コックピットに入ったことを想像してみましょう。洋上では水面下に座っているようなモノコックボディに身体をおしこめると、足下には機銃やラダーペダル、両手でエルロン・エレベーターの操縦桿やエンジンスロットルレバーを操作します。

下方視界は良好そうなものの、前方視界は非常に悪そうです。滑走路への着陸ではなく、ランウェイエンドのない水面への着水なのでどこで着水するかはあまり考慮せず徐々に高度を下げていけばいいだけなので、鼻先が長いのは飛行艇にとってはあまりデメリットにはならないかもしれません。問題になりそうなのが、上方に横たわる主翼とその上のエンジン。巴戦の+G旋回時に敵機を視認しておきたいところですが、大切な視界を主翼とエンジンが邪魔していることになります。それでもこの配置が機動性に最適と言われてしまえば、逆にポルコならS.21Fを操縦できるだろうなと、むしろ主人公の操縦能力でカバーされてしまうのが不思議なところ。

 

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もう一人の主人公はなんといってもフィオ。当時の最先端技術である飛行艇の主任設計者が14歳の少女というのには驚きますが、設計室の描写や技術的なセリフからもしかしたらと思わせられてしまいます。改修後の型式は、フィオの頭文字のFをつけて、S.21Fと変更されています。

 

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ほんとこのS.21Fには夢をもらいました。友人が博士論文の冒頭にHayao Miyazakiへの謝辞を書いていたのにも驚きましたが、私のエンジニアリングの原点も紅の豚だと言っても過言ではありません。

ということでこのS.21Fだけは捨てられず、トイレの棚の上で大空を飛んでいます。