【Kasa】百名山笠ヶ岳日帰り、クリヤ谷~笠~抜戸~笠新道~新穂高

Light & Fast mountaineering to Mt. Kasagatake, 2898m

 

まだ行ったことのない百名山、笠ヶ岳に行ってきた。

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穂高の主稜線ではない西の尾根のため、これまでなかなか絡められず残った課題となっていた。今年ゴールデンウィークのときも、錫杖岳ではなくて笠ヶ岳も考えたが、行程の長さにびびり断念。笠新道からのピストンでもコースタイム14時間のため一般的には1泊の行程だ。今回、準備をととのえて日帰りで笠ヶ岳を狙う。

 

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長い行程なので深夜3時に出発。槍見館のわきからクリヤ谷に入山。

 

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ヘッドライトの明かりを頼りに登山道を進んでいく。途中、熊の息遣いを間近で聞いた。たかみーは木を登る小熊をみたという。あちらも深夜に寝ているところを襲われると思ったのだろう。親熊が近くにいるかもしれない、あたりは真っ暗でどこから襲われるかわからない恐怖の中、急いでその場から逃げた。

最初の急登、滝壺を右手に斜面のトラバース、渓流の渡歩などなど、バリエーションに富んでいるが、ゴールデンウィークの錫杖岳敗退のときと同じルートなので、錫杖沢の出合までは地形を覚えていた。錫杖沢の出合では張られたテントに明かりが灯っていた。錫杖岳登攀の準備だろう。

錫杖沢の出合から先はまだ歩いたことのないルート。2度目の渡歩のあと、錫杖岳前衛フェースへの踏み跡に気づかずうちに迷い込んでいた。涸れた沢の急登でなんだかおかしいなと思ってGPSを確認したら、前衛フェースに向かって半分ほどきていた、登攀具も持たずに。

 

すぐに登山道まで戻り、再びクリヤ谷の登山道を登っていく。

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ぐんぐん高度を上げていくと、5時20分あたりが明るくなってきた。

 

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穂高連峰のシルエットがかっこいい。そして秋っぽい雲がいいアクセントになっている。

 

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6時10分、穂高山荘のある白出のコルから太陽が顔を出した。出発してから3時間、ハイペースで登ってきた。谷底を流れる蒲田川がずっと下に見える。

 

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クリヤノ頭から望む錫杖岳。錫杖岳から延びてきている稜線が北尾根で、ここからも錫杖岳にいけるのだろうか。もちろん正規の登山道はない。

マンガ版孤高の人でも厳冬期北アルプス縦走で錫杖岳が出てくるが、いったいどういうルートなのだろう。後立山連峰で雪崩に遭ってもただひとり縦走を続けて、最後に錫杖岳前衛フェースを登攀するシーンがあるが、一度クリヤ谷を下ってもう一度錫杖岳に登ったということだろうか。この北尾根を行けばいいのに謎である。

 

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クリヤノ頭の次は、雷鳥岩。冬季の風雪の影響で東側は急峻な崖、西側の斜面をトラバースして進んでいく。

 

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雷鳥岩をまわると、ついに笠ヶ岳が見えてきた。

 

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真っ青な空に、ちょんと突き出た笠ヶ岳の頂上。

 

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ジグザグを登り切って、笠ヶ岳の肩からあと一息だ。

 

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笠ヶ岳2898mからの眺め。穂高連峰を一望だ。蝶ヶ岳からの穂高連峰もすごかったが、笠ヶ岳からの穂高連峰もすばらしい。

 

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恥ずかしがり屋の槍ヶ岳は雲がかかりがち。顔を出したタイミングで記念撮影、百名山笠ヶ岳登頂だ。

クリヤ谷ルートで登山口から6時間かかった。コースタイムは1900mアップを9時間30分なので、63%のいいペース。荷物を厳選して軽量化したのがよかった。泊まりとしてしまうと荷物も多くなり、その分遅くなる。日帰りと割り切ったからこそ軽量化できたのであり、軽量化したから日帰りができる。泊まり装備でこのペースで進むのはずっとエネルギーが必要になるだろう。

 

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笠ヶ岳の北部稜線。10分ほどのすばらしいところに笠ヶ岳小屋があって、稜線はうねりながら北にのびていく。

 

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笠ヶ岳とその氷河地形。美しい。

 

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稜線の谷間から、顔を出す槍ヶ岳。笠ヶ岳からみる槍ヶ岳は、西鎌尾根、北鎌尾根、そして子槍までばっちり見える。

 

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抜戸岳から振り返る笠ヶ岳。奥は雲海だ。山に登ったからこそ、雲を突き抜けて太陽を浴びられる。素晴らしい。

 

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天空の稜線を歩いてきて、抜戸岳2813m登頂。この稜線歩きは最高に気持ちよかった。

さらに稜線歩きを続けて弓折岳まで行きたかったが、タイムアップ。笠新道を下る。

 

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抜戸岳から笠新道を下って、杓子平から振り返る抜戸岳。かなりの急な斜面を下ってきた。杓子平あたりはから樹木が森林限界で、このあたりの樹木は紅葉がはじまっていた。

 

笠新道をさらに下る。はるか下に見える蒲田川左俣谷まで、延々と続く下り地獄には閉口した。抜戸岳から標高差で1500m。登りはモチベーションが保てるが、下りは意識がだれてくる、それが変化のない登山道だと余計に。笠新道やばし。

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高度計の数値をモチベーションにがんがん下る。それでもなかなか高度計の数値は下がらない。永遠に思える下りだった、笠新道やばし。

 

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やっと左俣林道に合流。下りで大腿四頭筋をつかいまくって、数日間 太ももがパンパンの状態が続くことになる。

 

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林道を歩いて、そして走って、左俣林道の新穂高ゲートにゴール。

今回もロードバイクをデポしておいた。新穂高から槍見までダウンヒルしてクルマを回収してきてもらった。再び槍見の新穂高の湯で汗を流す。ぬるい湯だが、火照ったカラダをクールダウンするにはちょうどよかった。

 

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笠ヶ岳周遊コースタイム15.8時間。実動11時間ぴたしだったので70%のペース。いいペースで歩き続けられたのは、軽量化のおかげだ。日帰りと割り切ったからこそ軽量化でき、軽量化したからこそ日帰りのペースで歩ける。登りのエネルギー消費も少ないし、下りの膝への負担も少ない。なによりカラダが身軽で自由に動けて、楽しかった。

 

軽量化には小さいザックと決めるのが早い。荷室に余裕があるとなにかとつっこんでしまうが、スペースがなければ厳選する。天候に対応できる装備は削らない範囲で、これからも軽量化スタイルを楽しんでいきたい。