【Eboshi】紅葉進む北アルプス

Found a mountain hut like an oasis in desert. Warm atmosphere and slow time were inside.

 

北アルプス縦走4日目突入です。1日目は折立から入山し薬師2日目に黒部五郎・三俣蓮華を越え3日目には鷲羽・水晶の頂に立ちました。

疲れも出てきましたが、高瀬ダムには降りずこのまま縦走を続けます。

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台風が来ているので心配なのは天気もです。午前中はもってくれそうなので、早いうちに次の船窪テント場に着きたいところです。烏帽子小屋のテント場を日の出とともに出発。これでも少し遅かったのですが、、、

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大町側からの日の出。眼下には街が見えますが、まだまだ心は折れていません。がんばるぞー。

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モルゲンロートに染まる峰々。この写真は西側を向いていますが、これまでの写真よりやや雲が多いことがわかるでしょう。

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こんな感じで前烏帽子岳まで爽やかな早朝散歩です。その先に見えるのは尖った形の烏帽子岳(左)と南沢岳(右)。

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早朝は氷点下になり、入山した時よりこの3日間でずいぶんと紅葉が進んできました。2014年は紅葉が早そうです!

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烏帽子岳には分岐に荷物をおいて空身で登るのが一般的。最後の岩峰は鎖が張ってあるくらいスリリングなルートになりました。岩質は燕岳とまではいきませんが、数mmの白い砂が固まった岩。高瀬ダムを挟んで東側は燕岳・餓鬼岳の稜線なので、似たような岩質になっているのでしょうか。

頂上は岩が折り重なっています。標識に至っては岩に縛り付けられていました。とりあえず標識と一緒に記念撮影して分岐まで戻っていきます。

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四十八池が烏帽子岳の北側に広がっています。紅葉と相まってとてもきれいでした。

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エメラルドグリーンの水を蓄える高瀬ダム。あそこまで下ればタクシーが温泉へと運んでくれるのです。

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もうここまで来たら後戻りはできません。南沢岳、不動岳とアップダウンの大きい稜線を進んでいくことになります。ここまで来たら間違いなく裏銀座縦走なんていう優雅なフレーズは出てきませんよ。

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ルートは基本的に稜線上ですが、稜線のすぐ東側は崩壊が進んでいます。その土砂が流れ込むのが不動沢で、ダムの機能を維持するために土砂の搬出が今後もずっと続いていくのでしょう。

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いや~、しかしアップダウンの多い稜線だー。東側は崩壊が進んでいるので安心して歩けるわけではないし、乗越まで200mほど下ったと思ったらその分登りが返ってくる始末ですから。ここはぜんぜんコースタイム通りに行きませんでした。

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船窪岳第2ピーク到着。顔からは完全に笑顔が消えています。。。

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そろそろタイムリミットでしょうか。たまに空からポツポツと雨粒が振ってきました。足場が脆い上にこんなナイフリッジになっている箇所があったりして、本降りで滑りやすくなる前に抜けたいものです。

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船窪岳第2ピークから船窪岳までの間がいちばん大変でした。ナイフリッジがあったり、崩れやすい急斜面があったり、梯子があったり、、、

船窪岳について高度計をみると、なんと船窪岳第2ピークの方が標高が高いではありませんか。後で知りましたが、船窪岳は崩壊が進み、もともと(本当の)最高地点だったところの標高が下がった結果、逆転現象が起こっているとのことです。2014年現在、船窪岳は第2ピークが最高地点ですよ!

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船窪岳山頂を越えると、一気に歩きやすい登山道になります。これも登山道整備をしてくれる小屋や地元山岳会のみなさまのおかげ。

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登山道の落し物を拾い上げた瞬間、雨がざっと降りだしました。そのさきの行動を見透かされたかっ!?

すばらしく正確な天気予報でした。小屋まで1時間を残して大降りになりました。テント場で降っていなければ予定どおりテントにしようかなとも悩んでいたのですが、これで決心がつきました。今夜は船窪小屋におじゃますることに決めました。(わーーーい)

ここから小屋までがまた長かった。あたりは完全にホワイトアウト。樹林帯の登山道だから道迷いはしませんが、目標が見えないので精神的につらい。ガスの中から小屋のシルエットが見えてきたときは、どれだけ安心したことか。山小屋はほんとうにオアシスです。

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船窪小屋の戸をガラッとあけると、小屋の中は煙がもくもく。囲炉裏で薪を炊いている煙でした。これまで知っている山小屋と違うので若干戸惑いました。最近の山小屋って玄関があって、受付カウンターがあって、はいはい部屋はどこ、トイレはどこ、夕食は何時からとシステマチックに進んでいくじゃないですか。それが船窪小屋は、まぁまぁ濡れているものだけ滴が落ちるまで玄関に置いておいてさきに上がんなさい、とはじまるわけです。

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僕とは反対の北側から縦走してきたお兄さんと囲炉裏で靴下を乾かしながら、だんだんと強くなる外の様子とは対照的なのんびりした午後のひと時をすごしました。

ぜんぜん予備知識なしで行ったので驚くことばかり。船窪小屋には発電機がありません、夜は灯油ランプの灯りになりました。水は30分の水場から歩荷。当日は小屋番の方は下山していて、小屋のお父さんとお母さんとぼくら二人でご飯を食べました。天ぷらをはじめ、煮物、酢の物、紫米、具だくさんの味噌汁。入山してからずっとドライフーズだったので、からだが栄養素を欲していたのがわかりました。ほんとうにごちそうさまでした。

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外は台風で暴風。ほんとにテントにしなくてよかった。あたりが暗くなりランプの宿っぽくなってきました。けっして明るすぎずみんなの表情がわかる最低限の灯り、これで十分なんです。

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いろいろ書きたいことはあるのですがそれは明日にとっておいて、ひさしぶりに両手両足を大の字に広げて布団で寝られる喜びを感じながら眠りにつきました。